最高裁判所第三小法廷 昭和23(れ)1886 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
被告人の上告趣意第一点について。
記録を調べてみると、被告人は前に検察官の取調べに対して本件犯行の一切を自
白しており(記録一〇六丁以下、一五三丁以下)また、保釈出所後の原審公判廷に
おいても原判示第一事実について自白している(記録三八五丁)。このような場合
には、被告人の自白と勾留との間に因果関係のないことは明なことであると認むべ
きであり、かゝる自白は憲法第三八条第二項にいわゆる自白に当らないことは当裁
判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第二七一号昭和二三年六月三〇
日大法廷判決)。されば、原審が右第一事実についての被告人の原審公判廷におけ
る自白を証拠に引用したことは、所論のように憲法の条規に反するものではなく、
論旨は理由がない。なお、裁判が迅速を欠き憲法第三七条第一項に違反する場合で
あつても、これをもつて原判決の破毀を求める上告の理由とすることのできないこ
とも当裁判所の判例とするところであるから(昭和二三年(れ)第一〇七一号同年
一二月二二日大法廷判決)、この点に関する論旨も理由がない。
同第二点について。
所論は、原審の認定した事実と異つた事実が真実であることを主張し、また原審
が刑の執行猶予を言渡さなかつたことが不法であるというのであるが、原判決の事
実誤認を主張することは、上告の適法な理由とはならないし、刑の執行猶予を言渡
すかどうかは、事実審たる原審の自由裁量に任された問題であるから、原審がその
言渡をしなかつたからといつて違法であるということはできない。
されば、論旨は理由がない。
よつて、最高裁判所裁判事務処理規則第九条第四項旧刑訴法第四四六条に従い主
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文のとおり判決する。
以上は、裁判官全員の一致した意見である。
検察官 柳川真文関与
昭和二四年五月一〇日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎
裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 穂 積 重 遠
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